04-1プロローグ
表現する人と寄りそう人
太田 裕幸(おおたひろゆき)さんと辻美和(つじみわ)さん、佐藤愛美(さとうまなみ)さん
関係性は福祉事業所の利用者と職員
テーマ 指先から生まれる表現と、その先に心を寄せる
天井から太田さん、辻さん、佐藤さん3人の全身肖像写真 (800×1200mm)がつられている。
裏には、太田さんが過ごす園の庭で砂を触っている写真。
展示作品は、10センチ四方ほどにちぎられたチラシが先端にいくにつれて細くねじられているものが20個ほど床にちりばめられている。
04-2背景レポート
チラシでこよりを作るのが大好きな太田さん。指をくるくると動かして、個性的なこよりを作り、置いていきます。散歩では、自由に外を歩き敷地内を一周、砂や砂利を触って心を落ち着かせます。風の音や鳥の鳴き声に耳を傾け、冬はストーブの光や、雨の雫をじっと見つめることもあります。
写真は、こよりを作る太田さん、園の敷地内を散歩する3人、園にいる馬や木、砂を触る太田さんの手。
04-3寄り添う人のことば
審査員コメント/永岡大輔
非常に繊細でデリケートな造形ですが、ひとつ一つの形をゆっくりと眺めてしまうほど本当に魅力的です。床に落ちているこの造形を辿るとその先に太田さんがいらっしゃるところ、どんな様子なのだろうと気になります。太田さんは移動しながらこれらの作品を作られているのでしょうか?そう思うと、作品たちが足跡のようにも見えてきます。普通なら、その繊細さゆえに見落としてしまうかもしれない太田さんの造形を、表現あるいは太田さんらしさとして発見されたことにも魅力を感じます。(審査員:永岡大輔)
大好きなチラシで常にこよりを作って過ごされているので、床のこよりを辿っていくとご本人の姿を見つけられます。(佐藤愛美)
ある日、敷地内にある砂利をご本人が触っていました。隣に寄り添ってみると、石と石がぶつかりあった時、とてもきれいな音色を響かせていました。雨がたくさん降っていた日には、屋根から落ちて来る雨の雫をじっと見つめている太田さん。その姿に、太田さんの世界観に少しだけ触れ合えた気がしました。(辻美和)
こよりを作った数だけ、ご本人の想いや葛藤があることも。決して好きだからという一言では伝えきれない想いがあるのだと思います。(辻美和さん)
楽しく笑ったり、怒ったり、時に激しく気持ちを表現されます。それはちょっと羨ましい(佐藤愛美)
04-4寄り添う人の川柳
くしゃっと笑う笑顔、品やかに動く動作、大きな手、きれいな指先も素敵です(辻美和)
指先は、見えぬ心を解き明かす(辻美和)